メガネの裏はひとりじめⅠ
だけど。まだもうちょっとだけ。
リュウちゃんの授業を丸々爆睡して過ごすという。リュウちゃんに喧嘩を売ってしまったあたしにはプリントを提出しなきゃならないお仕事が残っていた。
そのプリントは合計3枚。
2枚は授業で使ったプリントのようで、それがもう返ってきている他のクラスの子に写させてもらった。
で。あと1枚は"化学超難問抜き打ちテストパート2"。
…うん。白紙なのは言うまでもない。題名見た瞬間諦めて筆箱にシャーペン直したからね。リュウちゃんはとことん鬼畜。
そんなプリント3枚をピラピラ揺らしながら廊下を歩いていたあたしは前方を通りすぎた人物を見て立ち止まっていた。
その、人物は。
『(…道留君…?)』
今日はお休みのはずの道留君。しかも道留君は一人じゃなくて。多分同学年だろう女の子と一緒に通りすぎていった。
『(何で…?)』
疑問が、浮かぶ。
離れていたって、あたしの目はちゃんと映した。道留君が、女の子に笑顔を見せていたのを。楽しそうに笑っていたのを。