メガネの裏はひとりじめⅠ



ゴシゴシ涙を拭って、あたしは床を蹴って走り出す。



道留君達が向かった方には――…図書室!



リュウちゃんに提出するプリントはくしゃっと手の中でシワになる。



職員室は図書室とは逆方向。絶対リュウちゃんは大激怒。けど、いい。プリントなんかより道留君が大事。あたしの一番は道留君だもん。今じゃなきゃダメなんだもん。



はぁはぁ。上がる息に乱れる髪。走るのが苦手なあたしがこんなに全力で走ったのは超久しぶり。



着いた図書室のドアを躊躇なしに勢いよく開けて、『っ道留君!!』あたしは呼んだ。おっきい声で。



だ、け、ど。



『…、』



シーン。と静まる空気。グサッグサッと目の前から突き刺さる視線。痛いやめて。大恥をかいたあたし。サイアクだ…!



予想外もいいところ。図書室には道留君と一緒にいた女の子だけかと思いきや。十数人。結構な数の人達がそこには居た。



ちらり。向けた目線の先には教室よりもサイズが小さい黒板。に、白の字で"クラス委員会"と書かれてて。



カーッとたちまち熱くなる顔。最悪最悪最悪!みんな"は?誰お前つーかなに叫んでんだよ"みたいな表情してる!最悪!



うぅ〜…恥ずかしすぎるよぉ…。


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