メガネの裏はひとりじめⅠ



あぁもう。こんなことって、ない。ていうか図書室入っておっきな声出すあたしがみんなからしてないか。うん、そうだね。



とりあえず。今この場から消えたい、です。



並べられた椅子に座っている人の中から道留君を探す余裕なんてものは皆無。ここから逃げることで頭はいっぱいいっぱいで。



『…し、失礼しやした…っ!』



って、きゃー!噛んだし!マジで噛んじゃったし!"しやした"とかいつ時代の人!?ああああ。おバカ丸だしバカ決定…。



噛んじゃったことでとうとうこの場の空気。突き刺さってくる視線が本気で辛くなってきた。



あたしが噛んだことに関して誰も笑わない。ただ見てくるだけ、で。まだ笑ってくれた方がマシだなーんて。視界はゆらゆら揺れる。



『…っ、』



失礼しました、と言い直す余裕はない。恥ずかしくって、あたしバカで。ドアを閉めずに走って図書室から出たあたし。



絶対明日学園一おバカな女決定戦が密かに開かれて、そこであたしは余裕のよっちゃんで優勝を飾っちゃうんだ。



『(やぁー…。)』



そんな優勝、欲しくもないやい!バカ野郎ー…。


< 162 / 281 >

この作品をシェア

pagetop