メガネの裏はひとりじめⅠ
『っ、』
うっわわわ…っ。聞いちゃった…。
言う前より、言い終えたあとからの方が不安はかなり大きい。
どうしよう…これで好きじゃないなんて言われたら。明日から生きてく自信ないよぉ…。
バクバク鳴る心臓は可愛いげのない音で煩くて。
道留君の気持ちを知りたいから聞いたのに、答えなくていいなんて思っているあたしがいる。
だって、怖い。
自惚れる要素があったけど、それはただのあたしの自惚れにしかすぎなくて。道留君の心の中は道留君にしか分からないでしょ?
もしかしたらほんとにただの自惚れで終わってしまうかもしれない。だから、怖い。
『(…って、あたしマイナスすぎぃ…。)』
デートの失敗。さっきの女の子のこと。やっぱりプラス方面には中々考えられないあたしは意気地無し。
ぐすっと鼻を啜って背中に回した手で道留君のワイシャツを強く握る。大丈夫だもん…。多分…。と、精一杯の強がり。
暫くして、道留君が唇をゆっくり開いた。
「…、…え、マジ、で…?」
『(…………あれ?)』