メガネの裏はひとりじめⅠ



失敗の中の失敗。ていうかまた失敗。あたし、道留君の前で何回失敗したら気が済むんだろ…。



もとから器用ではないけどさ。大和からよくドジって言われるけどさ。こんなに失敗続きだといい加減自分が嫌になっていく。



じわりじわりと熱くなる目頭。鼻の奥がツーンとする。



ギュウウウッとさらに強く握ったワイシャツにはシワを刻む。



と。


「可鈴。手、離しな。」



さっきまでロボットだった道留君がもとに戻ってそんなことを言う。



何で…?やだ。離さないもん…。



道留君にくっ付いたままフルフルとかぶりを振って拒否するあたし。



前までのあたしだったら恥ずかしくって絶対に自分からこんな風に抱きついたりしなかった。



だけど、今は特別。道留君から離れたくない。くっ付いていたいの。



ギューッといつまでも離れる気配のないあたしに道留君はそれっきり。なにも言わなくなった。



と、思ったら。



『ひゃ…っ!』

「だから手ぇ離せって言ったのに。」



な、ななな、道留君おバカ!?



サラリと涼しく言ってくれちゃうけど、そんなの説明してくんなきゃ分かるわけないじゃんバカー!


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