メガネの裏はひとりじめⅠ
隙間もないくらいぴったりと道留君に抱きついていたあたしの身体はあわわわ…!とんでもない状況なう。です。
いきなり背中に回っていた腕が膝の裏に入りそのまま両足を軽々持ち上げて。
道留君の胸にくっ付けていた顔をはっとして上げた時にはすでに遅かった。
びっくりして見開いた双眼には緩み1ミリもないきっちり締められたネクタイ。
浮く上半身は影に包まれ、「…可鈴。」あたしを呼ぶ低音はちょっとだけ苦しそう。
「マジで手、離して。」
この体勢ちょっと辛い。
苦笑も混じったそれに、急いであたしを手を離す。と、『にゃっ!』被っていた影は離れて代わりに身体をよっと持ち上げられる。
「にゃって、猫かよ(笑)」
明るくなった視界一番に飛び込んできたのは、卒倒確実なパーフェクト素敵スマイル。あらら…。くらりと目眩が…。
クツクツ喉を鳴らしながら、「可鈴が猫なら飼い主は絶対俺だけどね。」笑って言うけど目が本気――…って、えぇ!?
み、道留君っ!ままま、まさかそ、それって…、ど、同居のお誘い…っ!?
『(なんてこった…!)』
かぁあああっと道留君の不意な大胆発言にリンゴ可鈴再来。