メガネの裏はひとりじめⅠ
『ど…、同居は、もう少し未来で…、』
にやにや。悪戯な笑みで見下ろしてくる道留君とは目を合わせられなくて。真っ赤な顔を俯かせて小声でごにょごにょ…。
蚊の鳴くようなほんとに小さな声だったけど、すぐ傍にいる道留君にはしっかり聞こえてたらしく。
「同、居…?」
ふわりとハテナマークが宙を舞った。
「なに可鈴。俺と一緒に住みたいの?」
『え、えぇっと…、だって道留君が…、』
「へ〜…。可鈴超大胆。」
『なな…っ!み、道留君が言っ、』
「そっかぁ。一緒に住みたいのかぁ。」
『(…人の話聞いてっ。)』
「…うん。いーよ。一緒に住もっか。」
『っ、へ!?』
「でもその話はまた今度ね?」
"今の方が超大事だから。"
あたしの話なんか全部遮ってくれちゃって。(未来で)同居することも決定しちゃって。
楽しそうな表情を浮かべる道留君はそう言うと、「首に腕回して。」話の切り替わりについていけていないあたしを早くと急かしてくる。
「絶対落とさないけど、何かあった時のために。」
ちょ、ちょっと道留君…っ。