メガネの裏はひとりじめⅠ
そう思えば"秘密"にちょっぴりの寂しさを感じて。
いいとは言えない表情を感情のまま浮かべたあたしは優しく道留君の腕から下ろされる。
下ろして、その流れで道留君もあたしの隣に腰を下ろした。ギッと鳴いたソファーが少し沈む。
と。
すぐに胡座をかいてあたしの方に身体全部を向けてきた道留君。眼鏡の奥の漆黒があたしをじーっと見つめる。え、な、なに…?
ものすごく無言で見つめられるこの息苦しさ。
今、道留君は学校バージョンだけど。間近で見たらやっぱり秀麗な顔。まるでお人形さんみたい。肌、超すべすべだな…。
ドキドキと猛スピードで加速していく心拍数。例に漏れずかぁっと赤くなる顔。感じた寂しさなんかすっ飛んで。
後ずさった手はまた、ソファーを鳴かせた。
その直後に。たっぷりあたしを見つめた道留君が、ゆっくりと唇を開く。
「…眼鏡外してい?」
『え!?…あ、う、うん。』
どーぞご自由に。
あーっもう。あれだけいっぱい見つめておいて、言いたかったことってそれなの!?道留君っ。
ドキドキ猛下降。なーんかすっごく裏切られた感がある。カクン、と上がっていた肩を落とすあたし。