メガネの裏はひとりじめⅠ
『(ちょ、ちょ、ちょ、…!?)』
心の中で驚きを声にしていても、それが唇から零れる前に道留君は座っているのに軽々あたしを持ち上げた。
「やっぱ軽っ。もっと肉食べなきゃ肉。」なんて言いながら、持ち上げたあたしを再びソファーの上に下ろした道留君。
だけどさっきとは体勢が違う。脚はソファーにべたんとついて女の子座り。身体は道留君と向き合う形。
そういえば…。
いつぞやもあった、こんな風に道留君に一瞬だけど抱っこされること。
…ああ、確かあたしが初めて生徒会室に入って、道留君の"仮"彼女になって、間近で巳陵壱翔を見て、道留君が巳陵壱翔と大事な話をするからって先にあたしを教室に戻した日。
…教室じゃなくリュウちゃんに捕まって生徒指導室行ったけどね。
思い返せばあの1日はほんとにたくさんの出来事があった。あ、三木にもあの日フラれたんだっけ。で、道留君の素顔を知って。
フラれてまだ日は浅いのに、三木のことは頭の中からすでに消えていた。久しぶりに思い出したな、三木。
もう彼女出来てるんだろうなー…なんて。三木のこと気にしてる暇なんてあったの?あたし。
「今他のやつのこと考えてたでしょ。」