メガネの裏はひとりじめⅠ
あたしが泣く理由は、自分が仕掛けたキスの所為だって。多分そう思って謝ってくれている道留君。
だけど違うよ。道留君の所為じゃなくって、あたしの、自分の失敗で泣いてるの。
あれだけ勢いは嫌だとか思ってたくせに、結局は勢いで言っちゃうんだもん。矛盾してるな、あたし。
ごめんって謝ってくれる道留君にフルフルとかぶりを振る。『そー、っじゃ、なくて、』嗚咽混じりの声で言うと、道留君は首を傾げた。
「ん?違うの?」
『う、んっ。ちゃ、ちゃんと、ねぇ、』
「うん?」
『っい、言いたかった、のぉ。す、すき、って。』
ぽろぽろ落ちる涙が邪魔をして、はっきり道留君の顔が見えない。ぐにゃぐにゃ滲んでる。
だから今、道留君がどんな表情しているのか分からなくて。
はぁー。タメ息がひくひくしゃくるあたしの声だけが響く部屋の中、零された。と、思ったら。
「もー…、なんだよ。可愛すぎ。いきなり泣くから焦って後回しにしちゃったけど、やべぇ。…超嬉しい。」
ギュッと背中に回された手に、引き寄せられた身体。すっぽり腕の中に納まったあたしの耳元で喋る道留君。