メガネの裏はひとりじめⅠ
「別、言い直さなくてもいーよ。十分伝わった。可鈴の"すき"。」
マジで嬉しい。
そう付け足した道留君の声は言葉通り嬉しそうに弾んでる。ぎゅうぎゅうって。さらに抱きしめられて少し、苦しい。でも嫌じゃなくて。
――…トクン、トクン。
道留君の声が入ってくる方と反対の耳で道留君の心音を聞く。
ちょっぴり速いその音に、道留君もドキドキしてくれてるんだーって、あたしも嬉しい。
「可鈴。」
ずっと聞いていたい心音も、とんとん、と背中を柔らかく叩かれ、道留君に呼ばれたからそっと顔を上げてそこから離れる。
上げて、瞳に映った道留君は二重瞼の目を細めて優しく、柔らかく微笑んでいた。かぁってなるのはもう当たり前。
そんな目で見られるのはなんだか照れくさくって。『な、なぁに?』上げた顔を控えめに下げてみれば、フッと大人っぽく笑われた。
「わざとやってる?」
『…うん?なにを?』
「(…やっぱ違ぇよなー。でもいきなり上目遣いはねぇよ。反則だろ。)」
『道留、君?』
「んーん。何でもない。」
『へへっ。そっかー。』
「(うっ。可愛すぎる…。)…やっぱ、何でもなくない、かも。」
『え?』
「チュウ、してい?」