メガネの裏はひとりじめⅠ



『!!』



い、いいいきなりなに言い出すの!?道留君っ。…いや、お砂糖王子!!



一瞬にして大人っぽい微笑みから、甘ったるいデザートみたいな表情に変わった道留君。口調も声も甘い。チュウ、って。…わーわーわー!!



行動にして言われるキスと、口に出して言われるキスの恥ずかしさは同じくらいだと今、知った。



リンゴ飛び越え再びゆでダコ状態で狼狽えるあたしにさらに追い討ち。「やだ?」って!!ちょちょちょっとタイム!



『そ、そんなこと言われてもぉ…、』

「ダメ、可鈴。いいか、嫌か。どっちか言って?」

『〜〜っ、』

「…嫌?」

『(ブンブン)』

「じゃあ、いい?」

『…、』

「…なんで黙んのー。」



…だって。だってだって!き、キスの仕方なんか分かんないんだもん〜…。



してもいいか、ダメか。



"嫌?"って聞かれたとき、あたしは首を振った。



"いい?"って聞かれたときは首を縦に頷くことができなくて、無反応。じっと道留君をゆでダコ色の顔で見つめただけ、で。



き、キス(何回言っても慣れない)が嫌なんじゃなくて、やり方の問題。


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