メガネの裏はひとりじめⅠ



真っ赤っかの顔に、涙いっぱいの目。ギュウ…ッと悔しくてきつく噛む唇。



顰めっ面をしながら、あたしは盛大にケラケラ笑う道留君を睨んだ。キッ!



そんなあたしの睨み付ける攻撃にすぐ気づいた道留君は「ご、ごめん。」謝ってくれた。



け、ど。

肩がまだフルフルしてますけど?口を手で隠して下向いてるけどぜっっったい!笑ってるよね?笑っちゃってるよね!?



『道留君のバカぁ〜!!』



酷い酷い酷い。酷い!あたし、頑張って言ったのに。恥ずかしかったのに。それなのに笑うなんて酷い!



もうチュウなんかしてやるもんか!なーんて、やけくそになったあたしは、今まで道留君の首に回したままだった腕を離そうとした。



――…した、けど。



毎回道留君はいいタイミングであたしの機嫌を直そうと"ごめんね"を言ってくる。



今度は、ちゃんとした"ごめんね"。笑ってない、困った顔の"ごめんね"。



「笑ってごめんね?」

『んう…、』

「許してくれる?」

『…、…おし、えて、くれる?』

「うん?」

『…や、やり方…。』

「(かぁんわい。)もちろん。」

『じゃあ、いい、よ…?』

「やった。可鈴だいすきっ。」

『〜〜っ!』


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