メガネの裏はひとりじめⅠ
変わったことと言えばそれ。もうノーキス体験だったあたしとはおさらば。晴れてあたしはキス体験者に格上げになったってわけで。
『(あわ、あわわわ…っ。)』
ふぁ、ファーストキス、道留君に、あげちゃった…。
チュッと音を鳴らして一瞬だけ触れた道留君とあたしの唇。
瞬きしたら終わるようなあっという間の出来事だったけど、価値はすごくでかい。
なんてったって、ファーストキスは乙女の大事な大事な青春の1ページだからね。
それを好きな人とできたあたしって多分、超幸福者。
「どーだった?俺との初ちゅー。」
『っう、え。ど、どーだ、った…?』
思ってもみなかった。き、キスの感想を聞かれるなんて。びっくりだ。予想外すぎる。ていうかこういうこと、普通聞く!?
ちょっと常識はずれな気がする質問をしてきた道留君は嬉々としている。にっこにこ。なんて無垢な笑顔。
そんなちょっと常識はずれな気がする質問をされたあたしは、もうもとの色には戻れないんじゃないかと心配してしまうぐらいずっと赤い顔を引きつらす。ひくひく。
…どう答えればいいのだろうか、この質問。