メガネの裏はひとりじめⅠ



ま、まさか、ね…?



椅子に座って机の中から教科書を探している道留君の後ろ姿を見つめながらそんなはずないと思いながらも暫しじっくりと考えてみるあたし。



まずは、道留君の口許の絆創膏。



絆創膏はそこら辺のコンビニとかででも売ってそうないたって普通の絆創膏で、他の人と被るってことはあるかもだけど場所や貼り方まで一緒になるって偶然はそうそうないはずだ。



それに、これは道留君だけとは限らないが漆黒の色をした髪も同じだったし、いつもは遅刻しない道留君があたしに続いて遅刻して来た。



あとそれと足して一番引っ掛かるのは、同じ学園に通っていたとしてもあたしとは初対面のはずの王子様があたしの名前を知っていた、ということだ。



あの時はいろいろと起こりすぎて王子様があたしの名前を口ずさむのに何の違和感も持たなかったが、今思えば本当に不思議なのだ。



ていうか。



あれだけ綺麗な顔をした王子様がこの狭い"学校"という名の箱庭で噂になっていないってことも不思議で仕方がない。



噂になっていれば、顔と名前は絶対に知っているはずなのに。



そんな様々な謎を抱えた王子様の正体はやっぱり道留君なのかな――…?


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