メガネの裏はひとりじめⅠ



あまり、深く考えない方がいいのだろうか。



すーっんごいドキドキして、だけど一瞬の出来事で。終わったあとは超幸せな気持ちになった。…こんな感じ?



思ったことをただ並べただけの短い感想。深く考えなさすぎてるかもしれないけど、これがあたしの感想なんだもん。



ほんとにね。今あたし、超幸せ。マジ幸せ。



胸がぽかぽかして、温かくて。ファーストキスの相手が道留君でよかったなって。思ってる。



――…そう、心の中で思ったことを顔を見ながら言うのはめちゃくちゃ照れくさくって。



秀麗な道留君の顔をあまり見ないまま、だけどちらりとたまに見ながらぽつぽつと話したあたし。



言い終わると、道留君から返ってきたのは「ふーん。」短い言葉に意地悪な表情。にやにやにや。



『(や、やな予感…。)』



本日二度目。あたしの勘は、当たる。



「じゃあもっと幸せになろっか?」



そう言われて、気づいたらいつの間にか背中にあった右手は後頭部まで上がっていた。左手はそのままで。…え?道留、君?



ハテナマークを頭の上にほわん、浮かべた途端。『…んうっ、』ぱくっ。唇はお砂糖王子に食べられた。


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