メガネの裏はひとりじめⅠ
それをペロリ。濡れた自分の唇を舌で舐めて切る道留君の仕草が酷く妖艶。
ニキビとか毛穴とかがない、ほんとにお人形さんみたいな綺麗な肌に影ができるほど長い睫毛が生え揃う目は伏し目がち。
その目がゆっくり、持ち上がれば、パッチリ。目が合った道留君はふにゃっと顔の筋肉を緩ませた。
「俺は幸せだったけど、可鈴はそうじゃないみたいだな。」
後頭部に置いてあった右手で未だに瞳から落ちる涙を掬っていく道留君。
息が苦しくて、酸欠状態になる直前だったあたしは肺に空気を送りながら、整わない呼吸を肩でしていて。
そんなあたしに「ごめんね。」と、道留君は苦笑。チュッとまた瞼にリップ音と柔らかい唇が触れた。
「可鈴が超可愛い感想言うからさー。調子に乗りすぎちゃった。」
『…ひくっ、』
「え、ええ?…可鈴?」
『っふ、え〜…。』
「(何で!?いきなり!?)ど、どうした?そんなにしんどかった?俺、なんかやなこと言った?」
突然、落ちる涙の量が増えたことにあわあわ焦りだした道留君はちょっぴり早口。
だけど、いつも通り優しくて、あたしのことを心配してくれるそれに胸がぎゅうううってなって。