メガネの裏はひとりじめⅠ



そのピンク色した頬っぺたは小さくぷぅっとふくれる。「ずりぃぞ可鈴。」なんて言いながら。



――ドッキューン!



か、可愛すぎるよ道留君!!パーンとあたしのハートは一瞬にして打ち破かれた。ビリビリだ。



前に照れたときも可愛かったけど、これはやばい。マジでやばい。前のときとは比べ物にならないくらいの可愛さレベル。



たったらー♪見かけによらず大食いお砂糖王子は可愛さレベル98に上がった。よし、これでボス戦も楽勝だ。



こーんな可愛い表情見せられたら、もう道留君がお世辞でも"可愛い"って言ってくれたとき素直に喜べないよ。逆に悲しくなっちゃう。



あたし女だけどさ。道留君みたいに照れながら可愛く拗ねたりできない。自信は富士山よりも高く山積み。満芭可鈴は惨敗である。



『っ、』



バクバクバクバク。


心臓が騒ぐ音を耳に煩く感じながら、『(その表情の方がずるいよ!!)』いっぱいいっぱいのあたしは心の中でヤジを飛ばす。



立て続けにずっと騒ぎ続けている心臓もそろそろやばいんじゃないかと思えてきた。



バクバク騒ぎすぎだ。絶対何日か寿命が縮んでしまっているに違いない。


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