メガネの裏はひとりじめⅠ
なーんて。命の危機(大袈裟)を頭の中で予感しても、肝心の心臓が静まる気配を見せないのだから無意味。
静まるなんてそんなこと、道留君がいれば皆無に等しいけど。だってドキドキせざる得ないことを道留君はしてくるんだもん。
「あんな不意打ちの"すき"はずりぃ。照れるっつーか、もっとすきになっちゃうだろ。」
な、んで、そーいうことばっかり…っ。
『(〜〜っ、キザだ。道留君はお砂糖"キザ"王子だ…っ。)』
ほら、ね。
恥ずかしいセリフを噛むことも恥ずかしがることもなく、必殺の甘すぎるぐらい甘い声色で言ってのける。
それに足して"ぷちゅ"唇にも甘い音。
唇に落ちた三度目のキスは一度目と同じ、一瞬で終わるキス。胸がぽかぽかするキス。
リンゴもゆでダコも通り越した真っ赤な色に染まったあたしを「可愛い。」道留君ははにかみながら言ってくれた。
…やっぱり、嬉しいや。喜んじゃうよ。
さっきの可愛すぎる道留君を見たから、言われても悲しいだけとか思っちゃったけど。
実際言われたらそんなこと思わなくって。好きな人に"可愛い"って言ってもらえるのは、すっごく嬉しい。