メガネの裏はひとりじめⅠ



だから、両想い記念にしよ?あたしと道留君のお互いの気持ちを言い合えた日。幸せな一日を二人で祝ってもらおうよ――…って、



『(誰に?)』



そ、そうだよ!誰に祝ってもらうの?イブ、は、…ダメだ。音信不通だった。じゃあ道留君の友達?……ありえない。



瞬間的に道留君の友達で浮かんできたのは巳陵壱翔の顔。あの、巳陵壱翔が。学園で怖れ、憧れを持たれている巳陵壱翔が!



『(ないないないない。)』



いくら道留君の友達だからって祝ってくれるはずないよ。



"しょーもねぇ。夢見てぇなら見させてやっけど?"とか言って、拳が飛んできそうだ。怖い怖い怖い。暴走族に入ってるぐらいだし…。



巳陵壱翔という予想は消えた。なら、ほんとに。道留君は誰に祝ってもらおうとしてるんだろう。



うーん…。不意に思った疑問に首を傾げて真剣に考えてしまうあたし。家族、とか――…ぎゃあ!そそそそんないきなり!!



『む、無、…っ!?』

「シワ。寄ってるぞ。なに真剣に考えてんの?」



クツクツ可笑しそうに喉を鳴らして、ピッとあたしの眉間を指で押さえる道留君。


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