メガネの裏はひとりじめⅠ
なーんて、考えたって答えなんか見つからないんだから王子様の正体はほんとに道留君なのか自分で答えを導き出すしかないんだ。
だからあたし、道留君の後を尾行してみたいと思います!
そう決断した直後、授業が終わる合図のチャイムが学園全体に鳴り響き、静かだった教室はプッツリと糸が切れたように途端ガヤガヤと騒がしくなった。
その雑音の中、道留君は椅子から腰を上げて自分の席から離れていく。
道留君の正体を暴くチャンス早速到来!
教室を出て行った道留君の背中を見てあたしも椅子から腰を上げて立ち上がり、イブからは「どこ行くの?」って聞かれたけど『ナイショ!』簡単に一言そう返して。
黒板の前の教壇からはあたしに来い来いと手招きをするリュウちゃんの「可鈴、お呼び出し」語尾にハートマークが付きそうな口調で発した言葉が雑音の中でもハッキリと耳に飛んできた――…が。
逆らえばリュウちゃんの逆鱗に触れると分かっているけど、でもそれよりも今は道留君の方が気になって仕方がない。
あたしは顔の前でパンッと手を合わせ、走って道留君の後を追い掛けたのだった。