メガネの裏はひとりじめⅠ
秘密二の巻:知りたがり彼女
◆妬いちゃうのは当然です
「きょ、今日は真っ直ぐなんだ。か、かか、可愛いね。」
『あ、ありがと…。』
はぁあああー。なんてこった。
今日は、火曜日。
道留君と正真正銘の彼氏彼女になれた月曜日の夜が明けた今日の空は澄んで晴れ渡っている。こういうのを秋晴れって言うのかな?
そんな空の下。思いっきり吐きたいタメ息を心の中でとどめて、あたしは今、目の前の名前も知らない男の子にひきつった笑みを浮かべていた。
"可愛いね"と褒めてくれた(めちゃくちゃどもってたけど)あたしの胸下まであるミルクティーベージュの髪は言われた通り今日はストレート。
なんか巻き巻きの気分じゃなかったんだ。だから久しぶりにストレートで登校したわけで。
うん。それはいいんだ。いいんだけど、さ?
『(あんまり嬉しくない…。)』
道留君以外の男の子に可愛いって言われても"わっ!ほんとに?ありがとー♪"みたいには上がらないテンション。
ていうか"今日は"って。え、あたし毎日会ってたの?う、嘘だぁ…。
パチパチと瞬いて男の子を凝視する。
『(ええー…、見たことないよー…?)』