メガネの裏はひとりじめⅠ
そして、廊下に出ていた人が割りと少なかったので見失わずにちゃんと道留君の後を尾行したあたし。
だけどあたしは道留君が目的があって来たであろうその場所に、ただただ純粋に驚くしかなかった。
だって、その場所。
関係のない者は当たり前。どうしても用事のある者は関わりのある者にまず入室許可を貰わなくちゃいけないという。
そんな面倒くさいことをしなきゃ入ることを許されない、生徒会だけが自由に出入り出来る生徒会室なのだから。
な、何で道留君が生徒会室…?
道留君は生徒会の人間じゃないはず。
つまり、用事があってここに入ったとしか考えられないんだけど、でも関係のない者が入る時は普通生徒会に務めている誰か一人がその関係のない者に付き添って入室するのだ。
だけど、道留君は何の躊躇いもなくドアノブに手を掛け、堂々と一人で生徒会室に入っていってしまった。
もー、意味分かんないっ!
別に道留君が悪いわけじゃないけど、謎が多すぎる道留君に何だかむしゃくしゃしちゃって。
このむしゃくしゃから一刻も早く逃れたいあたしは道留君の正体を暴くべく、誰も居ないか辺りを厳重にキョロキョロと見渡し、恐る恐るドアノブに手を掛けた。
そして、ちょっとずつ開けていっても意味がないので思い切って一気にドアを開けた、その瞬間。
『――んきゃっ!』