メガネの裏はひとりじめⅠ
『ごごごごめんなさい…!』
ポタポタと涙を零しながら、王子様の顔にくっ付いている自分の手のひらを1秒でも早くと猛スピードで素早く離すあたし。
離して、現れた漆黒はあたしにこんなことをされると思っていなかったのか呆然としていて。
少ししたらパチパチと数回瞬きを繰り返し、そして下に居るあたしをしっかりと映し出したなら、漆黒はギョッと元から大きいのをさらに大きくして瞳を見開かせた。
「ちょ、何で泣いてんの!?」
『うぇ…、だって王子様がぁ〜…!』
「わわわっ!話し聞くから可鈴泣くな〜!」
グズグズと幼稚園児が未だ治らず泣き続けるあたしに王子様はほんとに困惑した表情。
一先ず寝転んでいたあたしの身体を手を引いて自分の身体と一緒に起こし、そのまま泣きじゃくるあたしと向かい合わせに座って大きい手でよしよしと背中を摩ってくれる。
だけど、そう早々に泣き止むことは出来なくて。
暫く王子様の胸に凭れながら泣くだけ泣いて、涙がだんだんと引いてきた頃。
王子様は優しく「大丈夫?」って、一定のリズムで背中を摩ってくれたまま聞いてきてくれて、あたしはそれに『…うん』と言葉を返し、次いでグスッと鼻を啜れば。
凭れていた王子様の胸から顔を上げ、瞳がかち合った途端に柔らかくふんわりと笑みを浮かべてくれた王子様にまた、顔を赤く染め上げた。