メガネの裏はひとりじめⅠ
「もう泣き止みましたか?」
『…あい』
「ん。そんで?何であんな大泣きしたのさ」
大泣き…。
王子様のその言葉に、そう思われるぐらいそんなに泣いてしまっていたのかと、今さらすぎるがズーンと後悔してしまうおバカなあたし。
泣いてしまった理由は、とても簡単だ。
"王子様の顔目掛けて手のひらを伸ばしてしまったから"
正しく自分の行った行動で、普通の人になら物凄く謝るだけなんだと思うけど。
でも、何故だか王子様にしてしまったと思うと何だか無性に胸にモヤモヤとしたものと涙が溢れてきて、それが一気に外へと溢れだしてしまったのだ。
それを王子様に伝えたらぶふっ!と盛大に吹き出され、グシャグシャと大きな手のひらで髪を撫で乱されながら「やっぱちょー可愛いなっ♪」またあたしが真っ赤になっちゃうことをサラリと言ってくれちゃって。
『ほんとにごめんね…?』
「ん〜?全然気にしてないけど?」
『で、でも…、』
「マジで気にしてないからいーのっ!」
分かった?
そう付け足され、あたしは渋々ながらもコクンと素直に頷く。
「いい子♪つーか、話し逸れちゃったけど本題入るな?」
苦笑しながらそう言った王子様はさっき零した涙の粒がまだ睫毛に付いていたのか、その涙を優しく指先で拭ってくれて。
それからその"本題"へと口を開いた。