メガネの裏はひとりじめⅠ



座っていても背の高い道留君と低いあたしとではやっぱり差が出来て。



あたしより少し高い位置にあるその綺麗な顔を見上げながらあたしはそう口にする。



そしたら道留君はそれに返事をするかのように優しい色を含んだ切れ長の瞳をキュッと細めておもむろにあたしの肩に手を置けば、そのままゆっくりとあたしの身体をソファーに沈めていく。



沈めて、自分もさっきの向かい合って座る体勢から沈むあたしの身体と一緒に付いてくれば、道留君の身体があたしに覆い被さる状態になって。



つまり、ほんの数分前の体勢に逆戻りだ。



『み、道留君…?』



何でまたこんな体勢になってしまったのかと。あたしは道留君の名前を呼んでみる。



これでは漆黒が絡んでしまい、さっきと同じ二の舞ではないか。



そうならないためにも出来るだけ漆黒から瞳を外し、だけど時々チラリと向けて。



そんなことを繰り返していると、道留君は笑いを噛み殺したような声であたしを呼び、あたしは瞳を外したまま『…何?』少し素っ気なく口を開いた。



だけど、今のは女の子として可愛くなかったと。言ってしまったあとからちょっぴり反省したあたしはそろり、瞳を道留君に向ける。



向けたそれには、困ったような苦笑を浮かべながらあたしを見下ろす道留君が映って。



慌てて外すと、やんわりと熱を帯びるあたしの頬っぺたに道留君の冷たい手のひらが添えられた。



「可鈴、俺ん彼女になって?」


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