メガネの裏はひとりじめⅠ
―――まず始めに言っておく。あたしが可笑しくなっちゃう前に言っておく。あたし、は。"変態"ではない。断じて、ない。切実に。
『(…の、ノーー!!!)』
ななななんてこった!ありえないんだけど!うわわわ!バカバカバカ!何で口開けたあたし!?
いや、王子様が嫌だとか予想外なこと言うからなんだけど!びっくりしたからなんだけどね!?
ほんっとにマジでありえない!誰か夢だって言ってねぇお願いお願いします。ゆゆ指をた、食べっ、食べ食べ食べちゃ…っ。
長くて細い綺麗な指を咥えながら頭の中で発狂。
始めに言っておいたみたいに、可笑しくなっちゃったあたしはまるであたしじゃないみたい。くらり。意識が吹っ飛んでいきそうだ。
とりあえず、
『(今すぐ死にたい。)』
なーんて。本気でそう思っちゃうぐらい、本当に今の状況はありえない。地球がどっかんしてしまうぐらいありえない。
ああー恥ずかしい。いやん。とかいう次元の恥ずかしさを遥かに越えた恥ずかしい思いを今、あたしは体験中。いや、したくないけどね。
夢なら覚めて欲しいって願っちゃうほど恥ずかしくって。
カンカンカンカン。わら人形に釘を打ち付けて自分を呪いたいほど、唇を開けた自分が酷く恨めしい。憎い。