メガネの裏はひとりじめⅠ
と、指を咥えながら顔から湯気が立ちそうなほど真っ赤になっているあたしを見て、なにを思ったのか王子様。
あたしの唇に挟まれた自分の指を引き抜こうとはせずそのままに。
柔らかかった笑顔を口の端を持ち上げた悪戯な笑顔に切り替えて、破壊力バツグンな爆弾を落としてきた。どっかーんと。
「可鈴のエッチ〜。」
『(エッ…!?)』
まるでリンゴ、ていうよりゆでダコになってしまっている(顔の色が)あたしをおもしろがるように。
そんな耳を疑うような爆弾をおどけて口にした王子様にゆでダコ色の頬っぺたはさらに真っ赤っか。
ゆでダコ以上に赤いものはなんなのか。…ポスト?って、あんな四角い顔にはなりたくないよっ。
もうなにに例えていいのか分からないぐらいとにかく真っ赤になってしまっているあたし。
恥ずかしさは最高潮。瞳にはせっかく乾いたのにまた涙がじわじわと姿を現していく。
だけど、それでも心臓は相変わらず煩く音を立て、意地悪だけど目の前の王子様の美しさは1ミリたりとも変わんなくて。やっぱり王子様は王子様で。
姿を現した涙がぽろり。一粒無意識に頬っぺたを伝って零れ落ちた――…その、直後。