メガネの裏はひとりじめⅠ
『(あ…、)』
ちゅっぽっと少し、い、いや、かなりえ…エッチ…っぽい音を小さく立てて口の中から出ていってくれた王子様の指。
それに一瞬でもっともっと赤くなったのは言うまでもなくて。
も、やだぁ…。
指を咥えていたっていう事実を分かっているのに無駄にやたらと強く突きつけられる。その、音に。
なに…?王子様って実は超意地悪だったりする?Sキャラだったりしちゃうの?
…って、ぜーったい!そうだよね。音、絶対わざとでしょ。バカバカ。王子様のあんぽんたんっ。
『…くすっ、』
ぽろぽろぽろぽろ。
意地悪な王子様に、恥ずかしすぎるって思いもまだ消えなくて零れ続ける涙。
それをすぐにグイッ。さっきと同じように拭ってくれたのは長くて細い綺麗な指。
「うーそっ。ちょっといじめ過ぎたな?」
涙を零すあたしを前に困ったと言わんばかりの表情で眉をハの字に下げる王子様。
低い声も柔らかくて、"よしよし"まるで小さい子供を慰めるみたいにあたしのミルクティーベージュの頭を骨ばった大きな手で撫でてくれる。