メガネの裏はひとりじめⅠ



『みっ…道留君にだ…抱き締められてるから…あの、その…っ』



あぁああ、やっぱ無理だ〜!



たどたどしく自分でも聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな小さな音量で。



ポツリポツリと今感じてる"恥ずかしい"って気持ちを言葉にしようとしてみたけど、だけどやっぱり言葉にしようとする気持ちよりも恥ずかしさの方が上をいっちゃって。



道留君とかち合っていた瞳も顔と一緒に言葉を零すにつれて徐々に下を向いていき、とうとうあたしは灰色のアスファルトを瞳に映していた。



うぅぅ…、何であたしってこうなのかな?



自分の伝えたい気持ちはいつもいつも恥ずかしさの所為にして上手く言葉にしようとせず相手に伝えようとしない。



こんなんじゃ伝わる気持ちも伝わんないじゃんか…っ。



だけどそうは思ってみても、下げてしまった瞳を再び道留君へと向けるなんて度胸は持ち合わせてはいないのが現実。



顔だって、まだまだリンゴの様に真っ赤なのだ。



気持ちを上手く言葉に出来ないので目頭がジンッと熱くなり、唇をグッと噛み締め涙が零れるのを耐えていると。



お腹に回っていた手が離れたに次いで背中に感じていた道留君の体温は遠ざかり、突然グルリと肩を掴んだ道留君の手によって身体を道留君の方へと回され向かされた。


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