メガネの裏はひとりじめⅠ
『ふえ…。王子様、の、バカぁ…。』
「(…王子様?)…うん。ごめんね?」
気づけないぐらい本当に一瞬、不思議そうな表情を浮かべてからくしゃっと、秀麗な顔を崩して王子様は苦笑い。
そんな仕草さえもめちゃくちゃかっこよくて。たぶん世界中、どこを探してもこの王子様の美顔に勝てる男の人はいないと思う。
もはや敵なし。素敵で無敵な王子様を前にまたドキドキ騒がしく脈打ちだす心臓。
『…、』
ちらり。頭を撫でてもらいながら、まだ潤む瞳で困った表情をしている王子様を上目を使って見つめてみる。
と、王子様の頭を撫でてくれる手は途端に止まって。頭を撫でていない方の手で王子様は自分の口を覆ってしまった。
「…反則すぎでしょ。」
なーんて。意味の分からない言葉を突然呟いたかと思うと、ほんのりと赤色に染まる王子様の頬っぺた。
『(…はて?)』
何で王子様が赤くなるの?
そんな要素があったかと。
考えてみるけどなかったよなーって、赤くなる意味が全く分からないあたしは小さく首を傾げて王子様を上目を使ったまま見つめ続ける。
そしたら"はぁ…"と呆れにも似た短いタメ息を零されたあたし。
『(なんだよー…。)』
タメ息を零す意味も分からない。