メガネの裏はひとりじめⅠ



あちゃー。すっかり忘れてた。



振り返った先に居たのは、あたしの服を小さい子供みたいにギュッと握って、ぷくーっと頬っぺたを膨らまし拗ねるイブだった。



またその仕草や表情が可愛いのなんのって。



…なーんて、ついつい親父になっちゃうぐらい今のイブはウルトラハイパーに可愛すぎる。



ってか、もうイブちゃんにキュンッ。



『イブごめんね…?』



イブの可愛さに緩みそうになる口をキュッと引き締め、短時間ではあるがイブを一人にさせてしまったことに申し訳ない気持ちが溢れてくる。



だって今日はダブルデート。



しかもイブと巳陵壱翔の恋を叶えるためのデートとも言える日だ。



イブ抜きであたし達が仲良くなってもそれは何の意味も持たず、それならダブルデートしなくたっていい、っていう話になる。



少なからず今日の主役はイブと巳陵壱翔。道留君には悪いがあたし達は脇役。という感じだろうか。



謝るあたしに「殆ど可鈴と"元"ダサ男のイチャイチャだったから入る隙間なんてなかったけどね」と言われ、あたしが顔を真っ赤にしたのは言うまでもないだろう。


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