メガネの裏はひとりじめⅠ



そこからちょこちょことイブにからかわれながら男の子二人忘れて例の如く乙女トークを繰り広げていると。



ポンポン、と突然肩を叩かれ乙女トークを中断し、イブから首を捻って顔を後ろに向ければ、そこには困ったように微笑を浮かべた道留君の姿。



「話してるとこ悪ぃんだけど、そろそろ行こっか?」



一瞬。道留君の言ってるセリフの意味が分からなくて。



どこに行くんだろうと不思議に思い、それを表情に出して道留君を見上げたあたしに道留君は「デートしないの?」表情だけであたしが思ったことを見抜いたのかそう言って。



そうだった…!



そのセリフにハッとしたあたしが慌てて『い、行く…っ』言った声はいつもより少し大きな声音になっちゃって一瞬、シーンとあたし達四人の包む空気が静けさを纏う。



「…っふはっ」



と、その静けさを引き裂くように吹き出された笑いが道留君の後ろに立つ巳陵壱翔から零されたわけで。



「声でけぇー。つーか、自分から誘っといて忘れるって!」



ケラケラと何がツボに入ったのか笑い出す巳陵壱翔の口をガムテープか何かで息も出来ないぐらい思いっきり塞いでやりたい。



乙女トークを繰り広げていたからちょっぴりデートのことが頭から抜けちゃってて、それで道留君のセリフの意味が分からなくて…。



って、やっぱ忘れてたんじゃんあたし…。


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