メガネの裏はひとりじめⅠ
クールなキャラを壊すみたいに笑顔を零す巳陵壱翔を見て、あたしの後ろに居るイブは多分頬っぺたをピンク色に染めながら卒倒寸前なんだろう。
あぁ…、あたしもイブとは違った意味だけどこのまま卒倒しちゃいたい気分だよ。
カカカッと熱を帯びていく顔を隠すように後ろを振り向いていた顔を前へ――…イブの方へと戻し。
見えたイブの頬っぺたは案の定、ピンク色に染まっていて、瞳は巳陵壱翔だけを捉えていた。
イブにはこんなあたしの度忘れを笑う巳陵壱翔でもカッコいいんだろうなー…。
なーんて思いながら、真っ赤なあたしの顔はイブを視界から外してまた灰色のアスファルトを映し出していた。
「もうお前黙れよ。その口塞ぐぞ」
「っはは。道留のチュウなんか要らねぇ〜」
「誰がんなことするかっつの。気持ち悪ぃ」
「おい。気持ち悪ぃとか言うな傷付く」
顔を下げたあたしと頬っぺたをピンク色に染めるイブの前でかなりへんてこりんな男の子二人のやり取りが繰り広げられていく。
道留君が巳陵壱翔にチュウなんて――…。
ヤダ〜!絶対無理ぃいい!
嫌でも想像してしまう道留君と巳陵壱翔がキスする場面にあたしはブンブンかぶりを振って、さらに顔を赤く染める。
そんなあたしを見て「あれぜってぇ想像してんな」ニシシ、と悪戯に笑いながら巳陵壱翔が道留君に言ったのを悶えるあたしが気付くはずがなくて。