メガネの裏はひとりじめⅠ



熱いぐらいに熱を帯びている頬っぺたに少し冷たい手のひらをくっ付けて気持ちを落ち着けようとはぁーっと息を吐くあたし。



っんもう、想像なんかしなきゃ良かったよ〜…。



まだ頭の中に道留君と巳陵壱翔のキスシーンが残ってて、中々消えてくれないそれに比例して熱も冷めてはくれない。



頬っぺたに当てた手のひらも冷たかったのに今はその手にも熱が伝染してしまっていて、何の意味も持たなくなっていた。



っていうか、こんな想像しちゃってるあたしが一番恥ずかしい!!



誰に言われるでもなく、やっとそのことに気付いたあたしはもうほんとに顔を下げ続けることしか出来ない。



目頭が熱くなってジワジワと瞳が濡れ、とうとう涙が零れる――…っていう瞬間にあたしは「…可鈴」道留君に名前を呼ばれた。



「かわいーなぁやっぱっ♪」



えぇぇ!?



低い声で名前を呼ばれたもんだから何を言い出すのかと思ったら。



道留君はそんなことを跳ねた明るい声で言って、大きな手で下を向くあたしの髪をわしゃわしゃと撫で乱してきた。



あわわわわ…っ。



『道留君ヤダぁ…。髪ぐちゃぐちゃになっちゃうぅ…』


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