ありのままを君に
「…杏那、大丈夫?」
ただあたしはその場に
立ちすくんでいた。
放心状態のあたしに
隣にいるゆっちゃんが
心配そうな声で聞いてきた。
「…あ」
声がうまくでなかった。
何か言うとあっという間に
涙がこぼれそうだったから。
でも絶対、泣きたくなかった。
泣いたら、周りの女の子と
一緒になるから。
周りの女の子なんかと
一緒んしてほしくない。
皆よりももっともっと
先輩の事が好きなんだから。
ずっと見てたんだから。
入学してから毎日毎日、
見てたんだから。
皆と同じくらいの
気持ちなんかじゃないんだから。