【続】婚約者は旦那様♪
ただひたすら歩いて行く私と湯澤さん。
本家は大きな家だけど、今は長い廊下が短く感じる。
空気は凍てつくように冷たく、重い。
完全なるアウェイ。
「--ここでございます」
長いような短いような移動時間が終わり、目の前には大きな障子が広がる。
ここに・・・源一郎様がいる。
胸の鼓動が余計に早くうつ。
「優羽様。逃げるなら今のうちですよ。
ご覚悟をお決めになさってくださいね」
部屋の前でそう言った湯澤さんは勝ち誇ったように穏やかだった。
それは私が逃げ出すって…
勝ち目がないって意味---?