【続】婚約者は旦那様♪
……確かにそうかもしれない。
ここから中に入ったら、それだけで私は本条の家から追い出されるかもしれない。
もう…達也の傍にいれないかもしれない。
それでも・・・私は前に進みたい。
ふと目線を下げると左手薬指の指輪に目が止まった。
相変わらず、輝きを保ち続ける夫婦の証。
『じぃ様に1人で会うなよ』
達也の言葉が脳裏をよぎる。
ごめんね…、達也。
約束守らなくて…
そっと左薬指につけている指輪をなぞった。
身勝手だけど、許してね--?
あと、身勝手ついでに…
私に勇気をちょうだい。
そして私は障子を開けた。