ろうそくの炎
「私のママね…お空にいるんだ」
ろうそくはおどろきました。
なぜならこの家には女の子のお母さんがいるからです。
「お母さんはね、さいこんしたんだって」
「さいこん…?」
「そう…。お父さんもお母さんもママの話しはしないから…私が話さないと、ママがかわいそうでしょ?」
少しかなしそうな顔をしてほほえんでいる女の子の顔つきは、おさないはずなのにどこが大人っぽかったのです。
きっと甘える相手がいなかった女の子は、甘え方を知らないまま育ったのでしょう。
何の写真か分かっていたからこそ、ろうそくはかなしみました。
女の子のお父さんはつらくなるから、と女の子のママを思い出すような物はすべてすててしまったのです。
だから女の子とママの思い出はもうあの写真しかないことも、分かっていました。
小さいころに空へと逝ってしまったママのことを、いつか女の子は写真がなければ顔も思い出すことができなくなるでしょう。
ろうそくはおどろきました。
なぜならこの家には女の子のお母さんがいるからです。
「お母さんはね、さいこんしたんだって」
「さいこん…?」
「そう…。お父さんもお母さんもママの話しはしないから…私が話さないと、ママがかわいそうでしょ?」
少しかなしそうな顔をしてほほえんでいる女の子の顔つきは、おさないはずなのにどこが大人っぽかったのです。
きっと甘える相手がいなかった女の子は、甘え方を知らないまま育ったのでしょう。
何の写真か分かっていたからこそ、ろうそくはかなしみました。
女の子のお父さんはつらくなるから、と女の子のママを思い出すような物はすべてすててしまったのです。
だから女の子とママの思い出はもうあの写真しかないことも、分かっていました。
小さいころに空へと逝ってしまったママのことを、いつか女の子は写真がなければ顔も思い出すことができなくなるでしょう。