正しい失恋の仕方*
Chapter1.出会い
2年生の冬、
11月の寒い日のことだった。
「杏、英会話してみない?」
お母さんのこの一言から、私の運命は変わってしまったのだ。
「えー!なんで?」
「今の時代、英語が話せないと…杏、1人で生きてはいけないのよ」
諭すような、お母さんの声。
そういえば…ブスとバカは世間から冷たくされるってよく言ってたっけ。
「男に養ってもらうもん」
「また、そんなコト言って!とにかくはじめなさい!!」
最初は乗り気じゃなかった。
バイトで忙しいし、サークルだって所属している。
ちなみにバイトでは一番上でシフト管理もしているし、
もう3年生っていうことで、サークルでは幹部になっていた。
「やだよー。私、忙しいし」
「それがね!英会話教室がさ、ここらへんにはないからね。お母さん考えたのよ」
お母さんがニコニコしながら、パソコンに向かう。
「え…もしかして…」
「そ☆
自宅で英会話~ってやつよ☆」
あ、怪しすぎる!!
「え…もしかしてNOV○の?」
「高いじゃない、あそこ!もっと安いところ見つけたのよ~」
も…もっと怪しすぎる!!
お母さん、何かにだまされてるわ!
私がそう思っているにも関わらず、
相変わらずの能天気なお母さんはカタカタパソコンでどこかにアクセスし始めた。