キミが居た病院
「んー? でも、変。見間違い?」
優香の言ったとおり、何かおかしかった。
なぜなら、風が強くて木が揺れているというのに、その人物はたじろぎもせず普通に歩いていたのだ。
まるで、今日は晴天で強風も無し、と言わんばかりに。
段々とその人物がハッキリ見えるようになった時、優香は心臓が止まりそうな位びっくりしてしまった。
――その人物は、ずっと優香のほうを見上げながら歩いてきていたのだ。
上を見ているのではなく、しっかりと優香の目をとらえていた。