キミが居た病院

「んー? でも、変。見間違い?」

 優香の言ったとおり、何かおかしかった。

 なぜなら、風が強くて木が揺れているというのに、その人物はたじろぎもせず普通に歩いていたのだ。

 まるで、今日は晴天で強風も無し、と言わんばかりに。

 段々とその人物がハッキリ見えるようになった時、優香は心臓が止まりそうな位びっくりしてしまった。


 ――その人物は、ずっと優香のほうを見上げながら歩いてきていたのだ。



 上を見ているのではなく、しっかりと優香の目をとらえていた。


< 128 / 246 >

この作品をシェア

pagetop