キミが居た病院

「そうか? なんかいいじゃん! 街が一体になって盛り上がるのってさ」

 そう言われてみればそうかもしれない。

 秋人に言われるまではそういう考えは全く浮かばなかった。

 ただ、恋人が居る人達が楽しいだけのイベントだと思っていたのだ。

「秋人君は今年は彼女と過ごすの?」

「はっ!? オレいつ彼女居るって言った!? 今年も一人っす!」


 勇気を出して聞いた答えが、望んでいた通りのものだったのでほっとした。

 だが、なぜほっとしたのか自分でもよく分からないでいた。

 どうして自分がそんな答えを望んでいたのかさえも―。


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