キミが居た病院
「秋人君はさ、大学とかで好きな人、いないの? もう夏休み終わったでしょ?」
「んー、居ないな。大学とかじゃなくて気になる奴ならいるけど」
「あ、そうなんだぁ?」
聞かなきゃ良かった―優香は素直にそう思った。
「うん。なんか守ってやんないとって思える子」
「何かその子にあるの?」
「実はオレもよく分からなくてさ。いや、分かってるけど……認めたくない、みたいな?」
「なぁにそれ?」
「悪い。うまく説明できそうにないわ。この話パス」
優香は首を傾げたが、無理矢理聞き出すわけにもいかないので了承した。