キミが居た病院
「それでね、そこには誰も居ないの。いつもならママと明日香とパパが居るのに」
少しずつ鼓動が早くなる。
すると秋人が立ち上がり、ベッドの傍に来て手を握ってくれた。
びっくりして秋人を見ると、ゆっくり頷いている。
「少しは落ち着くだろ」
「あ……りがと」
あまりの恥ずかしさに顔を背けてしまったが、触れる事が出来て心は幸せで満たされていた。
たとえ、相手に好きな人が居ようとも――
優香はこんな時に自分の気持ちに気が付いてしまった。