キミが居た病院

「うん、それで?」

「でも逃げれないの!! 走れないの!! 脚が泥に吸い付いているようで」

 優香は大きく深呼吸して、呼吸が乱れない様に努めた。

「そうすると段々頭痛が酷くなって、頭の血管がちぎれちゃいそうになって……どこからか声が聞こえるの」

「なんて?」

「連れて行く、って。でもこの言葉、誰が誰に行ってるか全く分からないの。そんで意識が飛ぶ、って感じかな」

「あ、わかんなくていい」

「えっ?」

 秋人が突然そんな事を言い出すものだから、思わず首をかしげてしまう。


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