キミが居た病院

「中庭で優香に近付いた理由……一目惚れだったんだ」

 優香の寝息を聞きながら、ふっと笑う。

 そして身を乗り出し、優香の頬にそっとキスをした。

「大好きだよ、優香」

 頭を撫でるのをやめ、寒くないように肩までしっかり布団を掛けてあげる。

「オレが連れて行くからね。もう怖い思いも……夢も……何も心配しなくていいから」


 名残惜しそうに優香の頬を撫で、ため息をつく。


 そして扉まで歩いていき、黒い塊の様なものを拾い上げて、優香のほうを振り返らずに出て行った。




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