キミが居た病院


 先生が居なくなった後を見計らって、美沙に問いかける。

「イトちゃん……意味が分からないんだけど?」


「ごめんね、ちゃんと説明するね。覚えていないでしょうけど…五十嵐さんはね、意識不明でここに運ばれてきたの」

「……嘘だぁ?」

 美沙は首を振っている。

「運ばれてきてから役半年経ってるの」

 確かに、病院に入院したのは夏が始まる前…そして少ししてから個室になった。

「覚えてないのも無理はないのよ。ずっと意識不明の重体だったんだもの」


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