ありがとう・・・カイン
―
「あなた・・、死ぬの?死にたいんだね?。早く死ぬところを見せてよ。」
荏原はその男の子の言葉にビクッとし、足を踏み外しそうになった。
ここはビルの屋上、そして柵の外である。風こそ吹いていないが、ご丁寧に荏原は、既に靴を脱ぎ・・・、しかし靴の先は空ではなく、内を向いていた。
時間は夜9時を回っていて人影は全くない。
星はでていないが、その代わりに月が一層映えて見える。
この場所は、三十階建ての高層ビル。オフィスビルである。
・・ここから落ちれば当然即死は免れない。
その男の子は、荏原の気付かぬうちに荏原の横に座っていたのだ。
「な、何を言い出すんだ!危ないじゃないか!」
荏原は動揺して落ちそうになり、慌てて柵にしがみついた。
「あなた、死ぬんだよね?危ないも何もないじゃないか」
「ば、馬鹿にすんな!私は自分の意志で今まで動いてきたんだ」
荏原は、力ない震えた声で叫んだ。
<本人>は叫んだつもりだったというのが正しいだろう。
「まったく、人間てやつは・・」
荏原は男の子の顔を見た。
その行動はこの世に少しでも存在していたい<助けて><俺のことを分かって>ということを表していた。
「き、君は何て名前なんだ?最後なんだ。名前くらい教えてくれたっていいだろう?」
男の子はクスッと笑い答えた。
死ぬ間際に名前を聞いてもしかたのないことだろう、と。
…まったく、人間てやつは。
「まあ、いいけどさ。僕は、カイン。あなたの知らない世界からきたんだ。人間で言うと、身なりは小学5年生くらいだよね。だけど、君の何倍も人間て奴を見てきたよ。」
「・・カイン。何倍?」
「で、あなたは何か言い残すことはあるかい?」
カインはニヤリと荏原を見る。
カチンときた荏原は、強がってカインを睨んだ。
「私は、人生に満足した。」
「・・全く。・・人間てやつは」
カインはクスッと笑った。
「満足ね・・・。じゃあ、君のここ最近の人生とやらを見てみるかい?」
「あなた・・、死ぬの?死にたいんだね?。早く死ぬところを見せてよ。」
荏原はその男の子の言葉にビクッとし、足を踏み外しそうになった。
ここはビルの屋上、そして柵の外である。風こそ吹いていないが、ご丁寧に荏原は、既に靴を脱ぎ・・・、しかし靴の先は空ではなく、内を向いていた。
時間は夜9時を回っていて人影は全くない。
星はでていないが、その代わりに月が一層映えて見える。
この場所は、三十階建ての高層ビル。オフィスビルである。
・・ここから落ちれば当然即死は免れない。
その男の子は、荏原の気付かぬうちに荏原の横に座っていたのだ。
「な、何を言い出すんだ!危ないじゃないか!」
荏原は動揺して落ちそうになり、慌てて柵にしがみついた。
「あなた、死ぬんだよね?危ないも何もないじゃないか」
「ば、馬鹿にすんな!私は自分の意志で今まで動いてきたんだ」
荏原は、力ない震えた声で叫んだ。
<本人>は叫んだつもりだったというのが正しいだろう。
「まったく、人間てやつは・・」
荏原は男の子の顔を見た。
その行動はこの世に少しでも存在していたい<助けて><俺のことを分かって>ということを表していた。
「き、君は何て名前なんだ?最後なんだ。名前くらい教えてくれたっていいだろう?」
男の子はクスッと笑い答えた。
死ぬ間際に名前を聞いてもしかたのないことだろう、と。
…まったく、人間てやつは。
「まあ、いいけどさ。僕は、カイン。あなたの知らない世界からきたんだ。人間で言うと、身なりは小学5年生くらいだよね。だけど、君の何倍も人間て奴を見てきたよ。」
「・・カイン。何倍?」
「で、あなたは何か言い残すことはあるかい?」
カインはニヤリと荏原を見る。
カチンときた荏原は、強がってカインを睨んだ。
「私は、人生に満足した。」
「・・全く。・・人間てやつは」
カインはクスッと笑った。
「満足ね・・・。じゃあ、君のここ最近の人生とやらを見てみるかい?」