「俺とキスしてみない?」
あたしは不安になって、
真面目に聴いているのに。
紀沙羅ちゃんは一瞬ニヤッと笑った後
美しすぎる笑みで答えた。
「こ、い、わ、ず、ら、い、とか?」
なんてふざけた事をぬかした。
「こ、恋煩い?
紀沙羅ちゃん、
んな訳ないでしょー、
たぶんー風邪だからー
こー観えてしんどいんだよー」
「はぁ、仕方ないかぁ、
『お姫様』は病弱だからなぁ」
親戚は。
あたしの事をお姫様呼ぶ。
それは、あたしが。
『世界有数の会社の社長』の
娘、だから。