空花
その日はとても綺麗な雪が降っていた。
あたしは飼い犬のユーリの散歩で近くの公園へと向かっていた。
横断歩道の信号が変わり、渡るのを諦めようとしたその時ユーリがリードを離して車へと向かっていってしまった。
とっさに危ない!て飛び出しユーリを突き飛ばすと…キキーッという音と共に周りの風景が一回転する。
「…あ…たし跳ねられ…」
もう体は動かないし、このまま死んだら皆喜ぶだろうと思い静かに目を閉じた。
結局あたしは誰にも必要とされないまま死んでいくの?
…17の冬、その瞬間あたしは死んだ。
いや、死んだ…筈だった。君に出逢わなかったら――。